小説 鶴彬 暁を抱いて を読んだ

昨日7月12日、小矢部市で「映画 鶴彬 こころの軌跡」の試写会があった。
9月5日(土)に小矢部市総合会館で上映会を開くことになって、映画そのものを観てもらって、本上映に人を誘ってもらおうという趣向である。
上映時間 9月5日(土)午前11時、午後2時、午後7時の三回上映。
場所 小矢部市総合会館大ホール
入場料 1000円。
画像

鶴彬が隣の石川県、高松町出身の川柳作家だということを、私はこの上映運動が始まって初めて知った。
日本の中国侵略戦争が開始された頃、反戦の川柳をたくさん作って、特高警察につかまり、29歳で牢獄で赤痢にかかり死亡している(1938年9月14日)。
映画の最後でも紹介されていたが、次の3つの句は、一度読んだら忘れられない。

万歳とあげて行った手を大陸へおいて来た
手と足をもいだ丸太にしてかえし
胎内の動き知るころ骨(こつ)がつき

試写会では、年配の方が司会者から感想を求められて「私は戦争は絶対反対だ。富山の大空襲の後、幼い子供らの焼け死んだたくさんの遺体を片付けた体験をしたが、戦争とはひどいものだ」と言われたのが、印象に残った。

会場でこの小説を売っていたが、私には余り小説を購入する習慣がなかったので、参加していた友人に「もっていますか、貸してもらえますか」と尋ね、借りて読んだが、一気に読めた。
映画を観て、その後、小説を読んだので、映画のシーンと鶴彬の心の動きが重なって、たいへんわかりやすかった。会場での感想のひとつに、鶴彬の心の動きがわからない、平板な感じの映画だとの感想も出されていたためか、映画の足りないところを小説で補ってもらったような感じだ。
普通、小説を読んだ後で、それを題材にした映画を観ると、イメージが違ってがっかりすることが多いが、逆はよいのかもしれない。

これからどうなったのか、知りたいと思ったことが二つある。
ひとつは川柳をかじっていた石川県の特高警官(みどり葉と号する)が、東京まで付けてきて鶴彬に直筆の川柳を所望し、東京の特高には本名しか知らせず、鶴彬というペンネームをわざと知らせなかったこと。なぜか。そのことがどうして現在に伝わっているのか、それとも史実ではなく小説の中の創作なのか。特高警官にも少しは良心というものがあったのか。
もうひとつは、鶴彬だけが監獄で赤痢になったこと。小説でも同房のものがいたにもかかわらず、赤痢になったのは鶴彬一人だけとなっていた。試写会に石川県から来られた先生が、その監獄があったところには731部隊の病院があったと言われたが、それと何か関係があるのか。

私も権力への反発精神もあって共産党に加わったのだが(祖父や父から聞かされていたことで、軍隊では上官の命令には絶対従えと言われていたと言う話に、小さいころ、反発を覚えていた)、鶴彬の次の評論になるほどと、納得した。そのような暗黒の時代を再びつくってはならないとの思いを、あらためて強くもった。

「抵抗しないものは、抵抗するものよりも、たいていの場合無事でいられると言うことは、昔からちゃんと決まっている。試みに諸君! 今仮に君らが、安いおでんかん酒屋や、お女郎買いに全身を賭けたところで決して治安維持法に触れるというようなことはない。」(P199)

ぜひ、9月5日の本上映には、多くの人に観てもらいたいと思う。

追加
晩酌しながら、前衛2009年8月号を読んでいたら、文化の話題のコーナーで、鶴彬に出会った。
「赤狩りをたたかいぬいた不屈の作家
トランボ監督の『ジョニーは戦場へ行った』」 山田和夫氏の評論だ。
私は全く知らなかったのだが、トランボ監督の匿名の作品に、オードリー・ヘップバーン主演の「ローマの休日』(1953年)があるという。この映画も観たことはないが、名前は聞いたことがある。
山田和夫氏は『ジョニーは戦場へ行った』の主人公について、第1次世界大戦で「両手両足をもがれ、見ることも聞くことも、話すこともできない。わずかに皮膚感覚が生き、頭脳が健全。若い女性看護婦の協力で、モールス信号による意思伝達のすべを覚え、決して生きる希望を失わず、戦争の悲惨を告発し続ける。と、紹介していた。これが鶴彬の川柳、「手も足ももいだ丸太にしてかえし」と通じるという。
この映画は1971年にできた。当時のベトナム戦争反対の思いを込めたものだそうだ。
ここにも鶴彬が登場して、単なる隣の県の珍しい川柳作家ではないとの認識を新たにした。

この部分を追加したのは、まだ四人しかこのブログを読んでいないことがわかったので、後で読んだ人にも新しい情報として伝わるだろうと思ったため。

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