孫崎享氏の「アーネスト・サトウと倒幕の時代」を読んだ

正月に読んだ本。
 「アーネスト・サトウと倒幕の時代」(孫崎享・著、現代書館・刊)を読んだ。明治維新をイギリスの外交官の記録を通じて分析している。著者の孫崎氏自身、外交官出身で外務省国際情報局長を務めた方である。
 明治維新を見るに、国際政治、イギリスやフランスの影響、関与の大きさに目を開かされた本である。ただ引用文が漢文調であったり、戦後生まれの私には難しい昔の漢字が出てきたりして、よくわからないまま読み飛ばしたところが多々ある。この点については、レーニンによる「とにかくわからないところは飛ばしても全部読み切ることだ」とのアドバイスをありがたく頂戴した。
 「倒幕派」は「薩英戦争」「下関4カ国砲艦攻撃」で外国との力の差を思い知らされた。
 「江戸城無血開城」の背後に、イギリスの圧力は、初めて知ったことである。勝海舟と西郷隆盛の会談の結果とは知っていたが、その背後でイギリスからの働きかけがあり、「倒幕派」もイギリス艦隊によって横浜から圧力を掛けられたら持たないと考えたようだ。フランスは幕府側で、このまま戦争になれば、英仏代理戦争となっていたかも知れない。勝海舟も西郷隆盛も、徳川慶喜もそのことに気付いていたのだろう。
 徳川慶喜の処分についても、外国からのアドバイスが効いたようだ。結局、生まれ故郷の水戸へ移されたが、もっと厳罰を求める動きがあった。それに対して、フランスのナポレオンに対する処分を例として、国のトップを務めたものが「恭順」を示しているのに厳罰というのは国際的に見て例がないというものだ。世界の動きが明治維新に影響を与えている内容の一例を見た思いである。
 昨年読んだ「赤松小三郎ともう一つの明治維新」は議会制民主主義を提唱し、薩土盟約に実ったが、イギリスの介入で壊され薩長同盟を結んで武力で徳川政権を倒したとしている。このあたりは、もう一度、二つの本を読み比べてみたい。
 10年ほど前に、「幕末史」(半藤一利・著)を読んだことがあった。孫崎氏の参考文献一覧にも出ており、これも改めて目を通してみようと思う。
 テレビで坂本龍馬暗殺をやっていたが、誰が殺したのか犯人捜しに目をやるのではなく、何のために暗殺したのか、そこにもっと目を向けることが大事だと思った。このことについても孫崎氏の本は示唆に富んでいる。
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